極度の骨吸収と入れ歯の不安定による体力的衰弱

悩み:

80歳過ぎのご老人。戦争直後の歯科治療では歯を抜く事が主流でした。ほとんど無理に抜かれてしまいました。合う入れ歯を求め、幾度となく作り替えたのですが、そのたびに歯ぐきは傷が絶えません。


食事をするため、生きるため、合わない入れ歯を無理をして装着しています。ただ、食事以外は、外したまま。入れ歯を外すと会話が不自由になるため、妻との会話がうまくいかずケンカが起こっています。

   

解決:

現在使用している合わない入れ歯を確認したところ、以前の入れ歯では顎位のずれが見つかり、安定していなかったことが判明しました。下あごは、骨がなく強打でもすればすぐ骨折してしまう状態でした。


上あごはどこもかしこもブヨブヨ(フラビーガム=コンニャク状歯肉と呼ばれ、口の中の分厚くブヨブヨした歯肉)。入れ歯の吸着に支障が大きくきたすので、形どり(咬座印象)で完成する新義歯をもう一度口腔内でリベース。


かみ合わせを狂わさないまま、上の吸着を確保しました。下はシリコン系のラバーを使うと、ズレた時に修理不可能になるため、あくまで新義歯をリベースのみとしました。

   

治療期間:

4ヶ月(調整もいれて)

   

Dr感想:

このような顎の状態で、シリコン系素材を使わなくてもかんで痛くない状態にできる、ということを改めて実感したケースです。「70年ぶりにまともに味を感じ食事ができた」とおっしゃいました。「えっ!10代からずっと入れ歯なのですか?」と気の毒になりました。


その後医院へ通院してこられるたびに、少しずつ背筋がまっすぐになり、元気になるの見てとても嬉しくなりました。このご老人の娘さんから、「歯はホンマに大切にせなあかんね~。すごいもんやね~」とのお言葉を聞いたときには、歯科医師としての使命の重さをさらに感じました。

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